賃貸住宅の初期費用の中身は?

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賃貸住宅に住むと、毎月家賃を支払うことになります。しかし、必要な費用はそれだけではありません。賃貸住宅へ引っ越す場合には、一般に「初期費用」と言われる各種費用がかかってきます。

 

初期費用にはさまざまな種類があり、意外と金額がかかってしまうもの。ここでは、そんな初期費用一覧をご紹介するとともに、大体の費用感をお伝えします。

敷金って?

Q:敷金ってなに?

 

A:端的にいうと「預り金」です。

  借り物の部屋に住むからには返す(明け渡す)際に『原状回復(借りた時の状態に戻す)』の必要があります。

  ※原状回復については別の機会に解説致します

 

 

例①:住んでた部屋の壁にうっかり穴を開けてしまっていたが、そのまま住み続けていた場合

  当然、明け渡す(退去する)際に修繕する必要があり、修繕しないと明渡しも成立しません

  ⇒解約も成立しません

  この時に「●●万円です→すぐ支払います」

  ならOKなのですが、「そんなにまとまったお金ないです…」

  となった際、その修繕費用に充てられるのが【敷金】です。

 

 

例以外の損耗箇所に充てられることも、もちろんありますが

詳しくは【原状回復とは?】で解説したいと思います。

 

 

例②:退去月の水道料金等に充てられる

   毎月の水道料金等が、翌月の家賃と一緒に引落される契約の場合に

   退去する翌月の家賃の支払いは当然無いので、退去日までの水道料金は支払っていない状態です

   そこで、事務処理を簡素に済ませる為に敷金から水道料金は差し引いて返金する

   という手続きをとる場合もあります

礼金ってなに?

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Q:礼金って?

 

A:その名の通り、お礼金となります。

  借りる側→貸す側(大家さん)にそのまま渡るので、敷金とは違い返ってこない費用です。

 

いつ頃・どの地域で始まった習慣かは諸説ありますが、令和の時代にも色濃く残っている習慣です。

江戸時代までさかのぼると、庶民が家を持つ事はなく

地域の地主さんから家を借りて、「住まわせてもらう」事に対する「お礼」という意味合いが強いと

聞いたことがあります。

 

 

ですが、時代は変わり

今や家主さん(大家さん)が「住んでもらっている」という感覚の方が非常に多く(私の知る限りは皆さん)、

決して「住まわしてやっている」なんて思ってらっしゃらないのでご安心を。

 

ルームクリーニング(ハウスクリーニング)って何?

Q:ルームクリーニング費用って?

 

A:退去後に住んでいた部屋を専門のハウスクリーニング業者に依頼して清掃する為の費用の一部です

  即入居可能と書かれたお部屋を内覧した際、新築の様にピッカピカに磨き上げられたお部屋に行かれた事もあると思います。

  何も前の入居者さんが「立つ鳥跡を濁さず」できれいにして行かれたわけではありません

  ※もちろん、引っ越しが終わり明渡し前の掃除は皆さんされますが。

  より完璧にする為に専門業者による清掃が行われます。

 

 

管理会社や仲介店により、呼び方は異なりますが意味合いは同じです。

・ハウスクリーニング費用

・ルームクリーニング費用

・退去時清掃代

などなど。

 

 

そのお部屋の管理会社や契約の内容により、清掃以外にも多少の修繕費用もそこに含んでくれる場合もあったり

一程度の清掃まででそれ以上必要と判断された場合は追加費用が必要になったり…

また、

入居時の初期費用として先払いするパターンもあれば

退去時に入居時に決めておいた金額を精算する

というパターンもあります。

 

 

いつ、いくら支払うのか?

どこまでの範囲がその費用の対象なのか?

は契約前に確認しておいてください。

家賃保証会社の保証料って?

Q:家賃保証って?

 

 

A:賃貸契約の連帯保証人の代わり

  保証会社という概念が存在しなかった時代は、

  貸主(家主さん)や管理会社側が、

  ・毎月の家賃等をちゃんと支払える方かどうか?

  ・どんな仕事をしていて、どのくらいの収入があるのか?

  ・ 万が一本人に(病気や怪我等)何かあって収入が途絶えてしまった場合支払えるのか?

  などを審査(確認)し、入居してもらうかどうかを決めていました。

  

 

そこで、『連帯保証人』の登場です

 

 

「本人が支払わなかった場合は私(連帯保証人)が支払いますよ」

という保証を付けて入居審査に挑む事になります。

 

 

しかし、肝心の「連帯保証人」も一個人である場合がほとんどで

その方にも「万が一」のリスクがあります。

 

 

(他にも事情はさまざまありますが)

 

 

その時に登場したのが【家賃保証会社】という仕組みです。

※家賃保証会社は、平成29年10月25日から家賃保証会社の業務の適正化を図る為、

 一定の要件を満たし国土交通省への届出(登録)が必要になりました。

 詳しくは国土交通省HP家賃債務保証業者登録制度】をご覧ください

 

 

これにより、保証会社が入居者(場合によっては連帯保証人も)の支払を「保証」する事で

・借主側はお部屋が借りやすく

・貸主側は安心

・管理会社は家賃の集金作業を任せられる

ようになるわけです。

 

 

その保証会社へ最初に支払費用が

保証会社初回保証料という名目の保証料金となり

家賃等(共益費や駐車場代などの固定費)総額の○○%として設定されています。

 

 

入居中は年に1回更新保証料○○円(○○%)や毎月保証料○%など

その支払方法や計算方法も様々です。

更新や月々の保証料はそれほど大きな金額になる事は少ないですが、

ここも契約前にしっかりと確認してください。

 

仲介手数料?

Q:仲介手数料っていくら必要?

 

 

A:家賃の1ヶ月分+消費税が上限です

  ここでいう「家賃」は、共益費や駐車場代を除いた本当の「家賃」を元に計算します

  ※賃料に駐車場代や共益費が元から含まれている場合も同じです

 

 

例:家賃75,000円の物件なら、75,000+消費税10%=82,500円

  となります。

忘れちゃいけない『前家賃』と『日割家賃』

Q:前家賃?日割家賃?

 

 

A:前家賃=入居する月の翌月の家賃等

  日割家賃=入居する日からその月の月末までの日割りの家賃

  となります。

 

 

例:家賃75,000円の物件に11月16日から入居の場合

  前家賃は、12月分の家賃75,000円

  日割家賃は、16日~30日までの15日分37,500円

  となります。

  ※ここでは共益費や駐車場代等は計算しておりません。

緊急サポート的なやつ

Q:24時間緊急サポートみたいな名前の費用って何?必要?

 

 

A:(サービスを提供する会社により名称は様々ですが)

  水漏れや鍵の紛失・ガラス割れ等の緊急事態に24時間体制で対応してくれるサービスです

  賛否あると思いますが、あった方が安心です

 

 

【サービスの内容について】

 提供している会社により内容は多少異なりますが、基本的には以下のような内容です

 ■水漏れ(詰まり)対応

  住まいのトラブルNo.1といっても過言ではない「水漏れ」や「排水詰まり」

  普段何気なく使用している蛇口(水栓)ですが、実は細かな部品の集合体でもあります

  特にゴムでできた「パッキン」はどうしても経年劣化しやすく、劣化すると水漏れの原因になります

  ・水栓の根元から水が染み出る

  ・吐水口(先端)からポトッポトッ…と水が落ちる

  など症状は様々です

  ・トイレの詰まり(流れない)

  ・キッチンの排水がスムーズに流れない

 ■鍵の紛失

  ・うっかり鍵をどこかに落としてしまい、家に入れない

  ・カギはあるけど回らない

 

 

そんな時に24時間体制で駆けつけてくれるのが上記のサービスです

24時間緊急サポートサービスの料金は、提供(提携)する会社によって

・月額料金を支払う

・1年(or2年)毎の契約でまとめて支払う

パターンがあり、中には火災保険(借家人賠償保険)とセットになっているものもあります

 

 

火災保険(借家人賠償保険)って?

Q:火災保険(借家人賠償保険)って何?火を使わないから火災のリスクはほとんどないけど?

 

 

A:火災保険の中に付随する【借家人賠償保険】が必要です

 

 

これまた管理会社や申込む保険会社によって呼び方や補償の内容は様々ありますが、

例)

・火災保険

・住宅総合保険

・家財保険

などなど…

 

 

どの名前の保険に加入しても必ず必要となる補償が

【万が一建物に損害を与えてしまった時の補償】

です

 

 

例)洗濯機の排水トラブルで自室内+下の階まで水浸しに…

 ここで発生した損傷(クロスの剥がれや下の階の方への損害)は全て自己責任となり、

 (まだ軽い方のトラブルですが)

 建物の持ち主である大家さんに損害を賠償する責任が生じます

 

 

損害額が数十万円で済む場合もあれば数百万円とケースバイケースですが、

その為に保険をかけておく必要があります。

 

 

保険の費用は提供する(提携する)保険会社により

・2年契約or1年契約で後日支払う

・初期費用として一緒に支払う

・緊急サポートサービスや保証会社の保証料金とセットになっている

など様々ですが、必ず加入するものですので申込時に確認してください

他にもある○○費用

Q:じゃあ敷金・礼金・(設定がある場合に)ルームクリーニング費用・仲介手数料・前家賃等を足した金額が初期費用?

 

 

A:原則、どの不動産仲介業者で申込(契約)をしても上記の費用は同じように必要になります

  しかし、住みたいお部屋(管理会社)によってはこれ以外にも必要な費用がある場合もありますので

  ここでその一例をご紹介します

 

 

■室内消毒・害虫駆除費用

■家庭用消火器具(用具)の代金

■書類作成費用

■鍵交換費用(借主負担の場合)

 

 

上記の項目は、

お客様が他のお店でもらった初期費用の見積書を持って、当店に相談に来られた際に見せて頂いた内容の一部です

※この他にもいろいろな名目の費用が存在するかと思います。

 

 

見積をもらったら、総額だけ確認するのではなく

それぞれの費用の名目(名前)も確認してください。

 

 

そこで

「これなに???」

と疑問に思う事はその場で解消するようにしてください。

 

 

その費用を

「払いたくない」

「必要ない」

「値引きして!」

ではなく、なぜそれが必要なのか?何をする(してくれる)為の費用なのか?

きちんと納得した上でお支払下さいね